コラム

エイサーの“念仏”も念仏

沖縄の夏の風物詩である「全島エイサー」について、自衛隊の参加にまつわる問題で、マスコミが実行員会から排除されると新聞で取り上げられている。戦没者を含む琉球・沖縄のご先祖へ想いをはせる行事から派生したイベントであることを思うと、実に残念である。また県外出身の私は、若かりし頃、沖縄に来てこの壮大なイベントを目にし、祭りに出向くのが本当に楽しかったのを思い出す。

ところでこの「エイサー」は盂蘭盆会の念仏踊りである。「エイサー」の起源については諸説語られているが、呼称として新聞に登場するのは明治30年以降だというから意外と新しく、さらに「エイサー」という名称に統一されるのは戦後という事である。それ以前は「念仏」「似念仏」などとも呼ばれており、「念仏」がキーワードとなっている。

さてこの念仏は「南無阿弥陀仏」であり、「阿弥陀仏を拠り所とする」という意味である。『仏説無量寿経』によると、阿弥陀の世界は四十八の本願によって表現されている。その第1と第2願には平たく言えば「戦争のない世界」と「平和のための戦争もない世界」が願われている。そして誰もが平等に満足する人生を獲得することが願われている。

「エイサー」は単なる娯楽であり、宗教性はないという人もいるが、念仏踊りから始まったエイサーから、「平和への願い」や「先祖への想い」の「伝統」を抜いてしまっては、伝承されてきた本旨を欠き、魅力が薄れはしないかと、一人の僧侶として危惧する。

(参考:『琉球沖縄仏教史』知名定寛著・榕樹書林刊)