コラム

【抗議】沖縄戦の史実を蔑ろにする発言

憲法記念日に沖縄で開催された講演会で、自民党の国会議員である西田昌司氏の発言について抗議の意を表明したい。

ひめゆり平和祈念資料館の展示及び沖縄戦の積み重ねられてきた証言と、
それに基づいた教育を蔑ろにした発言であったと了解している。

 

発言があった講演会の主催者には、 特定の宗教団体も名を連ねていて、その宗教の宗旨に沿ったものなのかも知れない。
しかし東本願寺沖縄別院では、これまで幾人もの沖縄戦経験者、元ひめゆり学徒の方々を含め地上戦の凄惨な証言を聞いてきた。

その中には日本兵による沖縄住民への加害の事実もあった。
そして戦前の戦争に加担したことを宗派としても懺悔している。

その上で戦争の悲惨さや沖縄を捨て石にし、犠牲を強いたことを忘れず歩み続けてきたこれまでがある。

これは「自虐」などいうものではない。
実際に起きた事実に向き合い、沖縄戦で起きた人間を蔑ろにする戦争の実態に触れ、その事実に立ち、 歩む方向が見定められてきた。

それは他でもない願生浄土の仏道に立つということであると私は了解している。

史実を前に、 自分の都合を優先する分別に立つならば、「自慰」的な歴史観に心地よさを感じるに違いない。

しかし浄土を拠り所として、 自己の分別を立場とするあり方を懴悔し、 私たちが同じ過ちを繰り返さないために、
間違いを間違いと認め、 反省の上に立って、 歩まれた先達たちに続くものでありたい。

そして仏教の教えによって戒められている、
人を殺すな、 殺させるなという教えを、 私たちの都合で修正せず、これまで積み上げられてきた証言と史実を聞き続けていきたい