現実を知る報恩講
先月沖縄別院の親鸞聖人「報恩講」を無事お勤めすることができました。
たくさんのご参詣をいただき御礼申し上げます。
今月は京都のご本山で「報恩講」(11/21-28)が開催されます。
機会があれぜひご参拝ください。
さて沖縄別院が設立されて以来十五回目の報恩講となった。
私は別院の職員として有難いことにずっと関わることができているが、参詣者の中にもずっと参拝いただいている方もいる。
また、ずっと参詣されていたが、もうお参りすることができなくなった方もたくさんおられる。
寂しいと思う反面、多くの人が念仏の教えに「恩」を感じるまでに至ったのかと思うと、念仏に感銘するほかない。
さて本年のご講師は能登からお越しいただいた濤恵周(おおなみえしゅう)師で、逮夜のご法話では震災から十ヵ月を経た現在までの状況を詳細にご報告いただいた。
印象的だったのは被災された直後は多くの報道があったが、現在はすっかり報道されなくなっていること。
そして現在取り上げられるのは、もっぱら「復興」が進んでいる姿ばかりで、作業が進まず、いまだに避難所の中でテントの中に暮らしている人、水道や電気ですらまだまだ復旧していない所があること。
特に驚いたのは、水道の復旧が公道までで、そこから自宅の工事は自分で手配するが、なかなか業者が手配できないことなど。
お話を聞きながら、本願の「天眼智通」「天耳智通の願」が頭をよぎった。
この本願では私たちが自分の聞きたいこと、見たいことばかりをみて、世界で起きている都合の悪いことを見聞きしないことが指摘されていると了解している。
報恩講の場で、遠く離れた能登の現在とその苦悩の現実を教えていただいたことは、浄土の功徳ではないかと感じ、大切な仏法を聞く場となったと思っている。
南無阿弥陀仏