コラム

何億光年前の光

先日、以前から交流のあった敬愛する先輩のお一人が、常照寺(南城市)の公開講座でお話をされ聞く機会があった。
内容は最近、旭化成の宣伝で流れている山口百恵の「さよならの向こう側」という歌の歌詞を手掛かりとされていた。
「何億光年輝く星にも寿命があると教えてくれたのはあなたでした」というものです。

私たちが思いにふけりながら見る、夜空にきらめく星々の光は、実は数年から何億年も前に放たれた光なのです。
その星が今あると思って見ているけれども、実は寿命が尽きてもう輝いていないかもしれません。
つまり私たちが見ているのはその星は、過去の姿なのです。
同様に太陽の光も、実は八分一九秒前の太陽の姿であり、過去の光に照らされているのです。

さて法事では今を生きる私たちが、過去の人々を偲び、思いを巡らせる機会です。
それは今、夜空を見上げ、過去の光を眺めるように、過去の人々の輝きを確かめる大切な機会です。
もちろん人それぞれ、様々な輝きがあります。
誇れることでない場合もあると思います。
しかしそれも含めて、その光を見つめてみたいものです。

最近沖縄でも年忌法要のみならず、中陰まで繰り上げばかりで開催されています。
法事では今を生きる私たちが、過去の人々を偲び、思いを巡らせる機会です。
夜も明るい現代、星を見上げる機会が減りましたが、先達方の輝きはちゃんと確かめたいものだと思いませんか。

長谷 暢