【声明】米兵による女性への暴行事件に抗議します (日本語)
【抗議声明文】
米兵による女性への暴行事件に抗議します
在沖米軍所属の米兵による16歳未満の少女に対する拉致暴行事件が昨年の12月に発生していたことが、今年6月の終わりごろの報道により明るみに出ました。被害を受けた方の痛みと苦しみが余人には測り難い深いものであることを思うと、事件を防ぐことのできなかった社会の甘さを悔やんでも悔やみきれない思いがいたします。まずはこのことを被害にあわれた方にお詫び申し上げなければなりません。
そして、米軍関係者による性暴力事件が、今年の5月とさらに他3件、2023年以降で合わせて5件も沖縄で発生していたことが今になってようやく明らかにされました。事件化されることが氷山の一角であることを考えると戦慄をおぼえると同時に、そのことが担当機関から沖縄県及び地域に暮らす人々に速やかに報告されなかったことに、激しい憤りを感じます。
戦後、米軍との不均衡な関係の中で軍人軍属による犯罪が繰り返されてきました。すべてのいのちが平等に重んじられる「命どぅ宝」社会の実現を願う沖縄の人々にとって何よりも排除されなければならない性暴力犯罪が、長年不平等を強いられている過重な米軍基地負担により頻発することは、あまりにも理不尽な現実だと言わざるを得ません。
性暴力は、他者を自己の欲求を満たすための道具として扱う、尊厳の蹂躙の最たるものです。くわえて、被害に遭われる方が女性や年少者であるケースが圧倒的に多いことは、男性中心社会が剥きだす牙の恐ろしさの表れでもあり、このような社会構造の継続を許すことは私たちがいただく仏教の教えとは到底相いれないものであります。その意味で、こうした事件が後を絶たないことに、仏教徒としても大きな責任を感じております。
阿弥陀如来の本願には全ての人が平等に救われることが願われています。一部の人の犠牲の上に成り立つ社会ではなく、外見や社会的立場、肌の色や性の違い等による不平等のない世界が願われています。また、自分以外の全てを、自己の欲求を満たすための手段とすることのない世界が願われています。
この本願をよりどころとする仏教徒として、今回の一連の事件と沖縄が置かれている状況に対する強い抗議の意を、全ての日本人及び米国人の前に表明します。そしてこの事件をとおして、自己の欲望を満たすために周りの人を利用していこうとする私たち一人ひとりのあり方が問われているのだということを確認いたします。
最後に、被害に遭われた方の苦しみがいくばくかでも癒されることと、二度とこのような事件が繰り返されないことを念じながら、この事件に抗議の声をあげられている方々と共に歩みたいと思います。
2024年7月12日
真宗大谷派 東本願寺沖縄別院
輪 番 長谷 暢
門徒総代 照屋 隆司